2000年 劇場用映画『アンチェイン』


『アンチェイン』大阪初日リポート
2001年6月16日(土)

プロデューサー/土井智生

一年の内でもっとも憂つな気分にさせる季節、梅雨。
そんな気分を吹っ飛ばすように快晴に恵まれた「アンチェイン」大阪初日。
大阪へ向かうのは、早くも約一年ぶりとなる。

当日昼すぎ、東京駅で編集の日下部さん、再現シーンの梶さん役をやった川崎くん、配給を行うリトルモアの浅原さん、と僕で待ち合わせ。
監督他3人のリトルモア、宣伝のミラクルヴォイスのスタッフとは劇場で合流予定なので、4人で大阪に向かうこととなった。
撮影時期は精神的、肉体的にも辛い思いをし、東京~大阪間を何往復したか解らない程乗り馴れた新幹線だが、今回は、久々出演者及び関係者に会えると思うと、パンドラの箱に見えた新幹線が玉手箱に見え、ちょっとした旅行気分。
出発と同時にビールを飲み爆睡した。

夕方、大阪駅に到着。
そのままリトルモアの藤田さんが押さえてくれた梅田に有る某ホテルへ地図を頼りに徒歩で向かうが、町並みがドンドン怪しくなる。
ソープがあり、ファッションヘルスがあり、どうみても日本人に見えない露出度満点のうら若き女性から「オニイサン、アソバナイ?」と声をかけられるが、丁重に断りホテルへ向かう。
すると1Km先からでも分かるようなデカイ看板(ホテル・・)が目に飛び込む。
その横には(こんなに安くてすみません。)いかにも大阪的すばらしい迷文句。
手早くチェックインを済まし、監督と合流。
監督は開口一番「昨日、エライ事が起きたんや!」「どうしたんスか?」「取材が終わり、知合いと一杯飲みに行き、べろべろになって戻ったところ、ホテルが小火さわぎになっててな、入れてもらえないんや。こりゃしゃーない、と前で一部始終を見てたところ、どう見ても親子ぐらい歳が違う男女が浴衣姿のまま、慌てて何組も出て来るんや!ハッハッハー!!」
のちにアンチェインの映画音楽を作っていただいた、ソウル・フラワー・ユニオンの奥野さんから聞いたのだが、女性の幽霊がでるらしい。
こんな素晴らしいホテルに泊れることを心の中で藤田さんに感謝し(怒)公開映画館である(テアトル梅田)に向かった。

公開一時間前に到着、すでにお客様が列んでいる。う~んスバラシイ!
東京の公開でも列んでいたが、ここ大阪で見る列はひと際嬉しい。
すると、出演者である、アンチェイン梶さん、ガルーダ・テツさん、永石磨さんと家族、西林誠一郎さんと彼女のヒロリンが続々とやってきた。
そして、本編ではカットになっているが、インタビューをした方々も見に来てくれた。
久々会う人たちと再会の喜びから話しが弾む。
そうこうしているうちに、公開時間が近付く。

劇場の様子を見に行くと、すでに立ち見が出来、熱気ムンムンの満員御礼。
劇場の冷房を強くしてもらうくらいだ。
そして藤田さんの挨拶のあと待ちに待った大阪初の上映!
しばらくホール内にとどまった。
大阪での公開はサッカーに例えるとホームで闘うのと同じ、緊張するし反応が気になる。
すると、明らかに東京とはちがうポイントで笑うのだ、というか笑いの数が多い(笑いの反応しか分からない)。
やはり、大阪人が大阪人を大阪で撮るという効果の現れだろうか。
しかし製作した映画の反応を直に感じとるのは、製作者冥利につきる。
笑顔でホールを後にし、監督、スタッフの元に向いホール内の反応をつたえた。
そこで監督から一つ提案があった。
上映終了後、舞台挨拶が有るのだが、そこで出演者4人にも一言づつもらおう、というのだ。
以前、宣伝会議でドキュメンタリーの性質上(出演者をスクリーン上以外での宣伝インタビュー等に出すと、見たお客様が興醒めするのではないか)との結論に達し、一切出演者を映画宣伝関連では露出しないこととなっていた。
しかしココは大阪、お客様の大半は関係者、そして4人は目立ちたがり屋。
僕は監督の映画、出演者4人、スタッフ、携っていただいた方々に対する愛情を感じ二つ返事で了承した。(ここが豊田監督のすばらしく良い所である!)
そして、上映終了。
舞台挨拶が始まった。

まず監督から挨拶、見ていただいたお客様、携った方々へのお礼、製作の経緯、感想そして出演者を1人ずつ呼び入れながらの紹介。
続いて、4人に一言づついただく。
皆ウケを狙うかと思っていたが、アンチェイン梶さん、ガルーダ・テツさん、西林誠一郎さんは以外と真面目な一言。
最後に永石さんが「パンティー捕るな!」と訳の分からない?一言でシメ、拍手喝采の中(アンチェイン)大阪公開初日は幕を閉じた。

そして大阪公開を祝しての打ち上げとなった。
普段、僕は打ち上げ等も仕切らなければならないのだが、今回はリトルモア、ミラクルヴォイスのスタッフが同行していた為、遠慮なく飲ませてもらった。
なので、記憶が全く無い!。
ですので、読者の方々は写真を見て想像してほしい。



今回の大阪公開に立ち会ったことで、映画が僕らの手を離れ、一人歩きして行くことを実感し、嬉しくもあり、悲しくもあり、複雑な気分となった。