2000年 劇場用映画『アンチェイン』


ストーリー

トランクスに“魂”の文字。
リングコールされ拳を突き上げる姿はボクシングの神のよう。
だが、神は梶にたった1度も微笑むことはなかった。

目の滑車神経麻痺で引退。
負け犬で終わりたくない梶は第2の人生に勝負を賭ける。

大阪、釜ヶ崎で『とんち商会』という会社を設立。
労働者に仕事を紹介する手配師を主に、探偵でも迷子のペット探しでも、殺し以外ならなんでもやった。
だが仕事は思うようにはいがず、浴びるように飲む酒とボクシングの後遺症で梶の奇行はどんどんエスカレートしていく。

ヤクザのロールスロイスを“いばるな”と追い掛け、正面に立って小便をかけた。
月が綺麗な夜に、通りかかったオッサンに「一緒に月見よう」と声をかけ、断られると家まで追い掛け2階の窓へよじ登り、警察に逮捕。
パンクのライブで“しょーもない!”を連発。客全員にしばかれ、顔面ボコボコ。
飲み屋でからまれた被害者多数。

1995年5月5日、雇った労働者から、「賃金を支払ってもらっていない」ととんち商会の事務所に脅迫まがいの電話が鳴り響く。
怒り狂った梶は体中に武器をくくりつけ、頭から黄色いペンキをかぶり、タクシーに箱乗りし、釜ヶ崎のあいりん労働センターへ殴り込む。レンチとハンマーを手に持ち叫びながら。
“おまえら働け、そこのオッサン立ちションすな!”たった1人の暴動。
解き離れた魂は結局、精神病院に着地した。

殴り込みに行く前、梶は3人のボクサーに電話をしている。
ガルーダ・テツ、永石磨、西林誠一郎。
『アンチェイン』はこの4人のボクサーを監督自らカメラを持ち、5年に渡って追い掛けた青春映画だ。

『アンチェイン』
一体、魂を解き放つとは、どういうことなのか?
解き放れた魂はどこへ向かうのか?
映画は解き放れた魂を、捕らえることが出来るのだろうか?


出演:アンチェイン梶/ガルーダ・テツ/永石磨/西林誠一郎 他
ナレーション:千原浩史
音楽:ソウル・フラワー・ユニオン
企画:孫家邦
プロデューサー:菊地美世志/土井智生
監督・撮影:豊田利晃
編集:日下部元孝
整音:柿澤潔
スチール:大森克己
製作:フィルムメイカーズ/リトルモア
配給:リトルモア