2002年 劇場用映画『青い春』


STORY


某、県立高校。

卒業生を送る「仰げば尊し」の聞こえてくる講堂。その屋上には新3年生がいる。
“幸せなら手を叩こうぜ!”
九條、青木、雪男、木村、大田など仲間内での新3年生の肝試しの危険なベランダゲームが始る。それは屋上のベランダにつかまって手を離すごとに何回手を叩けるかを競う危険なゲーム。勝者は九條。
「やっぱ九條すごいよ。7回だもんな7回だぜ。」興奮する青木を尻目に、九條はそんな事にはもはや興味すらなくなってきている自分を、高校生活の終わりを“青い春”の終わりが近い事を感じていた。そしてそれは九條だけではなく、雪男も木村もそれぞれの終わりを感じていた。九條の幼馴染みであることで、周りから軽視されながらもここにいる事ができる青木は不可能な事は分かっていながらこの状態をいつまでも続けていたかった、いつまでもこのメンバーが天下で高校3年生でいる状態を。

春も終わり、教室では授業が行われている。
ついこの前3年になったばかりの高校生活なのに、仲間達は微妙な変化を見せ始める。
雪男は思っていた、俺はこれでいいのか?何処かで間違ったのか?これが自分なのか?何処で間違った?

野球部のエース木村は甲子園予選敗退て高校野球が終わっていた。取り戻せない事は分かっているあの一球、取り戻せない青春。目標を失い、“青い春”の終わりを他の仲間達より早く感じてしまっていた木村。屋上に立つ九條を見上げて木村が呟く。
「……俺にはもうそこは高すぎる、もうガキじゃねえもんな」

青木が隣の九條に話しかける。
「九條、最近どうしたんだだよ『もう九條さんの時代は終わった』とか言ってる2年坊とかに“九條”って呼び捨てにされてるみたいだぜ“さん”とか無しでよ」
九條には軽視されているのが自分ではなく青木だということは分かっていた。それでも九條は2年生の番長レオと屋上に立っていた。レオは今“青い春”の真只中に居る。
レオに焼きを入れる青木。屋上から消えていく九條。
「九條 なんでよー、一緒にやろうぜ」
苛立つ九條。
「何でもかんでも俺に頼るんじゃねえよ」
その日から一変して授業を真剣に受けるようになった九條とは裏腹に青木の中で何かが壊れた。
青木は2年生の不良グループを引き連れ無茶な喧嘩に明け暮れ、暴走に苦言を呈する九條をも無視し、完全に壊れていた。出口を無くした青木。

九條、青木、雪男、木村、大田それぞれの青い春がいま終わろうとしている。