2001年 劇場用映画『波』


『波』公開にあたって

水面が微かに持ち上がり、そのうねりは次第に大きさを増し、
ぎりぎり可能な限り膨らんで、ある一点に達したとき、
それは荒々しく様相を変え、崩れ落ち、その惰力でもって
できる限り遠くへ達しようとした後は、
自らでは決して変えることの出来ない力によって
元いた場所へと引き戻される。
波の運動は、映画の中の彼らの姿によく似ているのだと
僕は思います。

映画監督 奥原浩志


STORY

晩夏。西伊豆。静謐な町。
町のホテルで働くケンサク。ケンサクは3年以上、父親とも分からぬ意識の無い老人の世話をして暮らしている。ミカは毎年、夏にやってくる。親戚のジイさんのガソリンスタンドを手伝い、趣味の写真を撮る。ケンサクとは去年、付き合っていたが、今年はもうミカにはその気は無い。ケンサクのホテルに客として泊まるユカ。婚約者に捨てられたユカは、お互いの崩れたバランスを支えあうようにケンサクと関係する。愛情の欲求をうまく表現できない3人にとって、海辺の町に流れる乾いた空気は心地よく、希薄な関係を装うことで、それぞれが傷つくことを避けていた。ある日、ケンサクの幼なじみのタツが、借金取りから逃げるようにやってくる。無邪気で軽薄なノリのタツは3人の関係を笑い飛ばす。「どっちとやったんだよ?マジかよ、こいつ!3Pかよ!」そしてタツの無軌道な暴走による事件がーー。やがて訪れる別れの季節。情熱の嵐に包まれて、4人はそれぞれの道へと歩き始める。


企画:ドラゴンキング
製作:フィルムメイカーズ株式会社/IMAGICA/ドラゴンキング/株式会社リトルモア
配給:IndEx Office/株式会社リトルモア

2001年 劇場公開作品/35mm/カラー/111分/ヨーロッパヴィスタサイズ